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『定年をどう生きるか』のあらすじ&感想

【自己啓発書】

人生100年時代、これから定年を迎える人、定年後の人生を生きている人に、肩の力が抜け、今後の人生に希望を持って生きようと思える一冊です。

この本では、なぜ定年が不安なのかということから考え始め、定年についてどんな準備が必要か、その秘訣をまとめています。

この本のあらすじ&感想をまとめましたので、よろしかったらご参考にしてみてください。 

 

あらすじ

第1章 なぜ「定年」が不安なのか

  •  定年退職になると、今まで仕事を介してつながっていた関係の多くを失うことになります。
    それに代わる新たな関係が、上手く築けないことが大きな問題と考えます。
    定年前は、人の関係を上下の縦で見ていた人は、定年後は縦の関係ではない関係を、どういうものかを知る必要があります。
    そもそも上下関係で見ていたことが、間違いであったことを知らなければなりません。

 

  • 人間にとって、何処かに所属することは基本的な欲求です。
    定年後に居場所(所属感)があると感じられることは大切です。

 

  • 定年を迎え仕事から離れると、もはや自分は誰からも必要とされず、価値があると思えなくなる人がいます。
    仕事をしないことが何もしないという意味だと考えるのは早計です。

 

第2章 定年に準備は必要か

  •  定年に準備は必要かという時の準備とは、未来に向けてではなく、「今のための」準備です。
    今は「未来のことを考えない」というのが生き方の指針になります。

 

  • 不安は未来に関わる感情であり、未来を手放せば不安から自由になることができます。
    定年後に何が起こるかは未来のことなので、そのことについて今考えることはできません。
    今考えられることがあれば、それは未来ではなく、「」する準備のことです。今変われないのなら、未来になっても変われないのです。

 

  • 人間の価値を生産性で見ないことです。
    これまでの人生では、何かができることが、価値があることだと思ってきたとしても、これからの人生を生きる時に、この考えを変えなければ、やがて加齢や病気によっていろいろなことが少しずつ、また突然できなくなって時に、そのことを受け入れることができなくなるのです。

 

  • 何かをしなければならないという思いから脱却しなければなりません。
    これは人の価値を生産性で見ないという考えにつながっていきます。

 

  •  定年になったことが問題なのではなく、定年という与えられた現実をどう受け止め、その後の人生をどう生きるかを、自分で決めればいいのです。

 

第3章 あらためて働くことの意味を問う

  •  定年はそれまでの仕事を辞めるというだけで、人生が終わりになるわけではなく、それまでとは違うことを始めるチャンスです。
    それまでは何かをしなければ気がすまなかった人が、「何もしない」ことを始めるチャンスでもあります。

 

  • 成功は過程なので、何かを達成しなければなりませんが、他方、幸福は存在である。
    つまり、何も成し遂げなくとも、人は幸福で「ある」という意味です。

 

第4章 家族、社会との関係をどう考えるか

  •  定年後は、会社は所属する場ではなくなり、家庭や地域社会などで自分の居場所を見出していかなければなりません。
    なぜならば、共同体の中に自分の居場所があると感じられることは、人の基本的な欲求ですから。

    毎日、長い時間を過ごし、そこで生きがいを見出していた会社がもはや自分が生きる場所ではなくなった時、最初は強い失望感を持つ人がいるでしょう。
    定年後は、家庭や地域社会における対人関係を無視できなくなります。
    定年前と変わらず一人で暮らしていれば、パートナーとの関係は問題になりませんが、老いた親との関係をそれまでよりもしっかり考えなければなりません。

 

  •  他者との競争に勝たなければ昇進できないような社会で生きてきた人にとって、他者は「」でした。

 

  •  定年前、自分の職責にこだわり、役割の仮面を外せなかった人は、職場での交友関係を築くことができずに、そのことをごまかして生きてきたのです。
    そのため、定年後には仮面は必要ないのに、なおも仮面を外すことができず、上下関係に固執し、対人関係の中に上下関係を持ち込もうとします。
    そういうことをすると顰蹙(ひんしゅく)を買うことになりますが、その人は新しい対人関係の中で、なぜ自分が受け入れらないか、その理由がわからないのです。

    家庭の中でも同じことが起こります。職場で尊敬される上司が、家庭では総すかんを食らうというようなことは本来ありえないので、おそらくは、家庭の中で受け入れられないのは、定年後に始まったことではないでしょう。
    定年の前も上下関係を崩さず、親という、あるいは、夫という仮面を外さずに生きてきたはすです。

 

  • 自分の意のままにならない「他者」が存在することに気付き、他者を敵と見なし、他者を対等の存在に見られない限り、定年後の対人関係はつらいものになるでしょう。

 

第5章 幸福で「ある」ために

  •  終わりよければすべて善しと考える人は、人生で成功することが善いことだと考えています。
    しかし、人生を成功の観点からだけ見ることが唯一絶対の見方ではありません。

 

  • 人はいつでも幸福なのです。
    何かを達成してもしなくとも、幸福はそのようなこととは何の関係もないのです。

    若い頃は成功を目指していた人が多いでしょうが、いつの間にか現実を見ると、自分が目指している成功を現実することが難しいことに気が付くようになります。

    それでは、どう考えればいいかといえば、成功を人生の目標にしなければいいのです。
    成功は過程であるのに対して、幸福は存在なのです。

    成功するためには何らかを達成しなければならないのに対して、幸福は何も達成していなくとも、今幸福で「ある」という意味です。

 

  • 成功は量的なものであるのに対して、幸福は質的なものだと言っています。
    例えば、昇進することは成功なのか、幸福なのか。
    昇進すれば給料も増えるので、これを量的な成功と見ることはできます。
    しかし、これは昇進することの一面でしかないので、簡単に昇進を成功と見ることはできません。また他方で、昇進を望まない人がいます。

 

  • 定年の前からも、成功ではなく、幸福を目標にして生きていることができれば、定年後、環境が大きく変わっても、そのことで生き方が大きく変わることはないでしょう。

 

  • 生きていることが、それだけで価値があるということが、幸福は存在であるということの意味です。
    実際、子供や孫が生きているのを見るだけで、まわりの大人は幸福であることができます。

 

  • 定年後であろうとなかろうと、人生のどの段階にあっても、今だけを生きると考えて生きるしかないのです。

 

  • 過去のことを思って悔いたり、未来を思って不安になったりするのは、今を生き切れていないからです。

 

  • 今を生き切ることができれば、これから待ち受ける老いや死をも怖くはなくなります。

    出来ることを毎日していれば、気が付けば遠くまできている。つまり長生きしているかもしれません。

 

第6章 これからどう生きるか

  •  どんなことも学べば、多少なりとも自分の生き方が変わるはずです。
    理論としてではなく、自分の問題として考えるために本を読み、人の話を聞きましょう。

 

  • 対人関係の築き方も、知識をみにつける方法に似ています。

 

  •  職場では、他者と深く関わらなくとも、仕事をすることができないわけではありませんでした。
    しかし、知識を得ることは生き方そのものが変わることです

 

  • 歳を重ねるだけでは人は賢くなれませんが、もしも若い人と共に学ぶ機会があれば、人に教えることで貢献感を持つことができます。

 

  • 定年について考えるということは、結局生きることについて考えるということです。

 

  • 人間の価値は生産性にではなく、生きることにあるということです。

 

  • 今日という日を丁寧に生きることで、過ぎたことを思って後悔したり、先のことを考えて不安になったりすることはなくなります。

 

著者紹介:岸見 一郎(きしみ・いちろう)

哲学者。1956年京都生まれ。
京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋哲学史専攻)。
専門の哲学と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。
精力的に執筆・講演活動を行っている。
著書に「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」など多数。

 

感想

会社員ならいつかは経験する定年。

この数年で人生80年時代のフレーズが、100年時代に延長!

定年後の人生に希望を持つためには?

 

人生80年時代では、定年後20年の生き方(働き方)を考えればよかったが、人生100年時代といわれると、40年間の人生を考えなければならない。

 

もし、20歳で会社員になり、40年間一生懸命に働いて、60歳で一旦定年退職になっても、更に同じだけの40年間の人生を考える必要があります。

 

この本では、「今を生き切ることができれば、これから待ち受ける老いや死をも怖くはなくなります。出来ることを毎日していれば、気が付けば遠くまできている。つまり長生きしているかもしれません。」とあります。

 

一方、定年後の年金生活ではお金に関わる不安や健康の不安など、数えあげればきりがないほどの不安が待ち構えている中で、今を生き切ることにどれだけ集中できるのだろうか?

 

その答えが、「今日という日を丁寧に生きることで、過ぎたことを思って後悔したり、先のことを考えて不安になったりすることはなくなります。」とあります。

 

つまり、今日一日をしっかり生きることになります。

そのためには、「成功ではなく、幸福を目標にして生きていること」です。

 

勿論、個々に応じて「幸福」の考え方は異なりますので、この点を定年前の人や定年になっている人も、改めてしっかり考えることで、定年後の人生を有意義に生きられると思います。

 

この本では、慣れ親しんだ職場を離れ、自分と仕事や家庭、社会との関係を再認識させるヒントが紹介されています。

もし、よろしければ新しい知識を吸収するために、一読されますことをお勧めします。

 

最後までご覧くださりありがとうございました。

次回もよろしくです。

定年をどう生きるか (SB新書)

定年をどう生きるか (SB新書)