世界遺産検定2級合格の練習問題&解説【基礎知識 ⑩|登録基準】
こちらでは、NPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」の合格60点に向けて、「基礎知識」について練習問題と解説で必要な情報を紹介していますので、ご活用頂ければ幸いです。(※練習問題は過去問題を参考に作成しています。)
世界遺産検定2級合格ー基礎知識 ⑩:登録基準
◆ 学習のポイント
世界遺産とは「顕著な普遍的価値」を有するもので、その価値の評価は作業指針(世界遺産条約履行のための作業指針)の中で定められています。遺産登録には1つ以上の登録基準が認められる必要があります。ここでの学習のポイントは、10項目からなる登録基準を理解することです。
基礎知識⑩の練習問題
1⃣ 登録基準(ⅰ)の説明として、正しいものはどれか。
【難易度:中】
2⃣ 登録基準(ⅲ)の説明として、正しいものはどれか。
【難易度:中】
3⃣ 登録基準(ⅷ)の説明として、正しいものはどれか。
【難易度:中】
練習問題の解説
▶ 登録基準
世界遺産の「顕著な普遍的価値」を評価する際、作業指針(世界遺産条約履行のための作業指針)で定められている10項目の登録基準から1つ以上の登録基準を認められる必要があります。登録基準(ⅰ)~(ⅹ)は文化遺産と自然遺産共通であるものの、登録基準(ⅰ)~(ⅵ)が文化遺産に、登録基準(ⅶ)~(ⅹ)が自然遺産に適用されています。(※登録基準ではローマ数字が使用されています。1⇒ⅰ、2⇒ⅱ、3⇒ⅲ、4⇒ⅳ、5⇒ⅴ、6⇒ⅵ、7⇒ⅶ、8⇒ⅷ、9⇒ⅸ、10⇒ⅹ)
- 登録基準(ⅰ)のみで登録されている文化遺産は3件です。(2020年7月現在)
- 登録基準(ⅵ)の適用に当たっては、「他の基準と合わせて用いらることが望ましい」という記述が、1996年の『広島平和記念碑(原爆ドーム)』の審議以降に書き加えられました。「負の遺産」は他の登録基準が認められ難いものが多いです。
- 登録基準(ⅷ)は、日本の世界遺産で認められたものはない。(2020年7月現在)
- 登録基準(ⅸ)は、日本の自然遺産の全てにおいて登録基準が認められている(2020年7月現在)
■ 『タージ・マハール』(インド、1983年)
タージ・マハルは、インド北部アーグラにある総白大理石造りの霊廟。ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、1631年に愛妃ムムターズ・マハルが36歳で死去したため建設。1632年に着工し23年後の1653年に完成。インド・イスラーム文化の代表的建築で、霊廟の左右にはモスクと迎賓館が全く同じ構造で建てられ、敷地内は完全な左右対称となっている。
■ 『シドニーのオペラハウス』(オーストラリア連邦、2007年)
シドニー・オペラハウスは、20世紀を代表する近代建築物です。設計者は計画決定当時無名だったデンマーク人の建築家ヨーン・ウッツォンが、1957年のコンペ(シドニー港に突き出した岬であるベネロング・ポイントの要塞跡地利用の国際的な設計コンペティション)に勝ち、革新的な建築物が造られました。1959年に着工し14年後の1973年に完成。
3つのコンクリート・シェルをつなぎ合わせた屋根のデザインが特徴、シェルの重みや海風の圧力に耐えられないなどの問題が起こり、工事が難航している間に、オーストリア政府とウッツォンは意見が対立し、ウッツォンはオペラハウスの建築から手を引き、二度とオーストラリアを訪れることはなかった。
オペラハウスには、世界最大級のパイプオルガンを持つコンサートホールのほか、ジョーン・サザーランド劇場やリハーサル室、レストランなどがあります。
■ 『プレア・ビヒア寺院』(カンボジア王国、2008年)
プレア・ビヒア寺院は、カンボジアとタイ国境にあるダンレク山地内のカンボジア領内に位置するヒンドゥー教寺院です。「プレア・ビヒア」はクメール語で「神聖な寺院」を意味する。9世紀初頭にヒンドゥー教のシヴァ神を祀る祠堂(しどう)を建てられました。11~12世紀にかけてクメール王朝のスーリヤヴァルマン1世と2世が大改築を行い、王家の寺院として保護されました。ヒンドゥー教の聖地として栄えたが、ヒンドゥー教が衰えると仏教寺院に改築された。
1904年にシャム王国(現在のタイ王国)と仏領インドシナ(現在のカンボジア王国)の間で国境線策定条約が結ばれたものの、1949年以降タイが実効支配してきた。1962年にハーグ国際司法裁判所がプレア・ビヒア寺院一帯をカンボジア領と認定するが、周辺の一部の土地の帰属は未確定のまま残された。その後、1970年代にカンボジア内戦で、カンボジア国内の文化遺産が大きな被害を受けたにも関わらず、プレア・ビヒア寺院の被害は最小であった。
2008年にカンボジアの世界遺産として登録された際、ICOMOSが登録基準(ⅰ)(ⅲ)(ⅳ)を認めたが、両国間の国境問題を考慮し、タイ側の領土抜きには登録基準(ⅲ)(ⅳ)の価値保全は難しいとして、登録基準(ⅰ)のみの登録になった。しかし、遺跡周辺の一部の領土の帰属性の判断は現在も明言されていない。
▶ 関連記事の紹介
終わり
世界遺産は、過去から現在へと引き継がれてきたかけがいのない人類共通の財産です。そんな世界遺産を未来へ引き継ぐために、世界遺産を学び理解を深めたいものです。
近年、世界遺産を巡る旅が注目される中、世界遺産の知識があれば旅の楽しみも倍増です。
2020年にNPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」を受験し一発合格しました。次は1級受験を目指し、その対策をブログで紹介して行きます。
初めに2級試験対策の振り返りながら、1級試験対策を掲載予定です。
市販の過去問題やテキストなどを参考に練習問題を作成していますので、高得点や合格確実を目指している方は、他のサイトなども合わせて参考にされることをお勧めします。
また、世界遺産にご興味を持って頂けるような記事も書いて行きますので、ご関心がありましたら、ご一緒に取り組んで頂けると嬉しいです。
最後までご覧くださいましてありがとうございました。
次回もよろしくです。
▶ 学習に便利な書籍紹介
▶世界遺産検定2級の出題割合(問題数60問、試験時間60分間)
・基礎知識:20% ・日本の世界遺産(23件):25% ・世界の文化遺産:35% ・世界の自然遺産 ・時事ネタ:10% (※世界の文化・自然遺産の出題範囲は300件が対象です)
初めに基礎知識と日本の世界遺産23件を着実に習得して、時事ネタ(試験6ゕ月前からの新聞・ニュースなど参照)も合わせながら、全体の55%を獲得できる知識を身に着けることで、確実に合格圏内に近づきます。頑張れば1ゕ月程で試験対策ができます。