世界遺産検定2級合格の練習問題&解説【日本の世界文化遺産 ⑬|富士山】
こちらでは、NPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」の合格60点に向けて、「日本の世界遺産」について練習問題と解説で必要な情報を紹介していますので、ご活用頂ければ幸いです。(※練習問題は過去問題を参考に作成しています。)
世界遺産検定2級合格ー日本の世界文化遺産 ⑬:富士山-信仰の対象と芸術の源泉
▶ 登録の概要
・ 登録年:2013年、登録基準:(ⅲ)・(ⅵ)、地域:静岡県・山梨県
日本人の心の拠り所であり続ける名峰。富士山は標高3776mの成層火山。その威厳のある山容と断続的な噴火は宗教的な霊感を人々に抱かせ、古くから死と蘇りを象徴する登拝(とはい)が行われてきた。山頂には浅間大神(あさまのおおかみ)がすむと信じられ、山裾に浅間神社や御師(おし)の住居が形成されてきた。また、富士山の美しい姿は14世紀以降、さまざまな形で表現され、19世紀には浮世絵師の葛飾北斎や歌川広重によって多くの富士山が描かれ、それが世界中に知られると共に、西洋絵画の発展に大きな影響を与えた。
世界遺産の構成資産は25件あり、富士山の「信仰の対象」や「芸術の源泉」の側面から、4つに分類することができます。
1つ目は、「信仰の対象」となった富士山域や登山道です。2つ目は、富士山への信仰に由来する山麓の神社や御師住宅です。3つ目は、信仰心をもって富士登山に臨む人々が巡礼や修業を行った、溶岩樹型や湖、湧水地、滝、海浜などです。4つ目は、富士山を望む美しい風景が多くの芸術の源泉となりました。
日本の世界文化遺産⑬の練習問題
1⃣ 『富士山-信仰の対象と芸術の源泉』に関する次の文中の語句で、正しくないものはどれか。
『富士山-信仰の対象と芸術の源泉』として登録された富士山は、噴火を繰り返す火山として恐れられる一方、多くの人々に敬われてきた。噴火を鎮めるために(①浅間神社)を建立され、噴火活動が沈静化した後(②禅宗)の霊場としても知られるようになった。富士山の景観は芸術や文化作品にも多大な影響を及ぼし、(③葛飾北大)の「冨嶽三十六景」のモチーフになったほか、(④万葉集)にも富士山が詠んだ歌が収められている。
【難易度:中】
2⃣ 『富士山-信仰の対象と芸術の源泉』の構成資産として、正しくないものはどれか。
【難易度:中】
3⃣ 『富士山-信仰の対象と芸術の源泉』に関する次の文中の空欄に当てはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。
『富士山-信仰の対象と芸術の源泉』は、富士山が人々の信仰を集めることを示す遺産である。( A )には、一般の人々でも富士山を巡礼して、( B )をする「富士講」が広まった。
【難易度:高】
練習問題の解説
▶ 構成資産の概要
◆ 信仰の対象
噴火を繰り返す富士山には、神が宿る山として畏れ、噴火を鎮めるために富士山の麓に浅間神社を建立しました。噴火活動が沈静化する平安時代後期になると富士山は、日本古来の山岳信仰と密教等が習合した「修験道」の道場となりました。
戦国時代に現れた長谷川角行(はせがわかくぎょう)が新たな富士山信仰を教義としてまとめ、その教えは弟子へと引き継がれ、江戸時代中期には「富士講(ふじこう)」として関東を中心に大流行し、多くの人々が富士登山や富士五湖等の霊地への巡礼を行うようになりました。
明治になると女性の山頂登山も解禁となり、また鉄道や道路網の発達により多くの登山者が山頂を目指すようになりました。
◆ 芸術の源泉
富士山は、その美しい姿から、様々な創作活動の題材となってきました。8世紀に編纂された日本最古の歌集『万葉集』に富士山が詠まれた作品があります。また、『竹取物語』『古今和歌集』『伊勢物語』などの古典作品をはじめ、松尾芭蕉や与謝蕪村の俳句、夏目漱石や太宰治の作品にも取り上げられています。
富士山を描いた最も有名な絵画は、江戸時代の浮世絵師が挙げられます。葛飾北斎や歌川広重は多くの富士山を描き、西洋の印象派の画家にも影響を及ぼしました。
- 葛飾 北斎(かつしか ほくさい):江戸時代の浮世絵師。代表作に『冨嶽三十六景』や『北斎漫画』があり、世界的にも著名な画家である。
- 歌川 広重(うたがわ ひろしげ):江戸時代の浮世絵師。代表作に『東海道五十三次絵』や『不二三十六景』があり、ゴッホやモネなどの西洋の画家にも影響を与えた。
◆ 富士山本宮浅間大社
富士山の八合目以上を境内地とし、南麓の富士宮にある「本宮」と、山頂に建つ「奥宮」との二宮から成っています。全国の浅間神社の総本宮です。平安時代の806年、坂上田村麻呂により「本宮」が創建され、現在の山宮浅間神社にあった「山宮」の遷座に由来すると伝わります。江戸時代1604年、徳川家康によって現在の社殿が造営されました。大宮・村山口登山道の起点です。
◆ 山宮浅間神社
最初に富士山信仰の大神が祀られたと伝わる場所が現在の山宮浅間神社です。その後、富士山本宮浅間大社に遷されたため「山宮」となりました。全国1,300余の浅間神社の中で最も古いとされています。境内に社殿はなく、御神木と遥拝所による祭祀遺跡空間が広がっています。遥拝所は、溶岩流の先端部にあたり、富士山の方角を向いた石列が配置されています。
◆ 北口本宮冨士浅間神社
現存する最古の「東宮本殿」は、北条義時が鎌倉時代1233年に創建され、武田信玄が戦国時代1561年に再建しました。樹齢千年の御神木「冨士太郎杉」や、吉田口登山道の起点となる登山門などもあります。
◆ 河口浅間神社
平安時代の865年、貞観大噴火の翌年に浅間神を祀ったのが始まりとされます。社殿前の石祠「美麗(ヒイラ)石)」は浅間神を祀った最古の遺物とされるほか、境内には樹齢1,200年を超える「七本杉」と呼ばれる御神木が立ち並んでいます。
◆ 御師住宅(旧外川家住宅・小佐野家住宅)
御師は、富士山に登拝する富士講信者の食事や宿泊などすべての世話と、富士山信仰の祈祷や布教を生業としていました。御師住宅は、御師の家であり宿坊です。北口本宮浅間神社の門前にこうした御師住宅が立ち並ぶ集落が形成された。1768年に建てられた旧外川家(とがわけ)住宅の母屋は、保存状況の良い貴重な最古の建物で、1861年に再建された小佐野家(おさのけ)住宅は、富士講最盛期の建物です。
▶ 関連記事の紹介
終わり
世界遺産は、過去から現在へと引き継がれてきたかけがいのない人類共通の財産です。そんな世界遺産を未来へ引き継ぐために、世界遺産を学び理解を深めたいものです。
近年、世界遺産を巡る旅が注目される中、世界遺産の知識があれば旅の楽しみも倍増です。
2020年にNPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」を受験し一発合格しました。次は1級受験を目指し、その対策をブログで紹介して行きます。
初めに2級試験対策の振り返りながら、1級試験対策を掲載予定です。
市販の過去問題やテキストなどを参考に練習問題を作成していますので、高得点や合格確実を目指している方は、他のサイトなども合わせて参考にされることをお勧めします。
また、世界遺産にご興味を持って頂けるような記事も書いて行きますので、ご関心がありましたら、ご一緒に取り組んで頂けると嬉しいです。
最後までご覧くださいましてありがとうございました。
次回もよろしくです。
▶ 学習に便利な書籍紹介
▶世界遺産検定2級の出題割合(問題数60問、試験時間60分間)
・基礎知識:20% ・日本の世界遺産(23件):25% ・世界の文化遺産:35% ・世界の自然遺産 ・時事ネタ:10% (※世界の文化・自然遺産の出題範囲は300件が対象です)
初めに基礎知識と日本の世界遺産23件を着実に習得して、時事ネタ(試験6ゕ月前からの新聞・ニュースなど参照)も合わせながら、全体の55%を獲得できる知識を身に着けることで、確実に合格圏内に近づきます。頑張れば1ゕ月程で試験対策ができます。