世界遺産検定2級合格の練習問題&解説【日本の世界文化遺産 ⑨|琉球王国】
こちらでは、NPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」の合格60点に向けて、「日本の世界遺産」について練習問題と解説で必要な情報を紹介していますので、ご活用頂ければ幸いです。(※練習問題は過去問題を参考に作成しています。)
世界遺産検定2級合格ー日本の世界文化遺産 ⑨:琉球王国のグスク及び関連遺産群
▶ 登録の概要
・ 登録年:2000年、登録基準:(ⅱ)・(ⅲ)・(ⅵ)、地域:沖縄県
沖縄本島では12~16世紀にかけて城塞建築の城(グスク)が数多く建造されました。14世紀になると有力な豪族(按司:あじ)が現れ、3つの小国(「北山:ほくざん」「中山:ちゅうざん」「南山:なんざん」)をまとめて、中山が1429年に統一を果たし、琉球王国が誕生しました。その後、1458年に勝連城(かつれんじょう)を拠点とする按司・阿麻 和利(あま わり)の乱が勃発し、これを鎮圧したことで中央集権国家の体制が整いました。中国・朝鮮・日本・東南アジア諸国との広域の交易を経済的な基盤とし、当時の日本の文化とは異なった国際色豊かな独特の文化が形成されました。その特色はグスクを含む9つの構成資産に反映されています。
また、琉球王国成立の前後に築かれたグスク跡には、城壁などの石積みに用いられた独特の石の加工技術などからも、ほかの地域とは異なった琉球独自の文化や技術を見ることができます。
日本の世界文化遺産⑨の練習問題
1⃣ 『琉球王国のグスク及び関連遺産群』に関する次の文中の語句で、正しくないものはどれか。
『琉球王国のグスク及び関連遺産群』は、日本や中国、(①東南アジア)などとの中継貿易で栄えた琉球の国際色豊かな文化を伝える遺産群であり、(②8つ)の構成資産からなる。琉球は(③ニライカナイ)信仰を基盤としており、グスクには宗教的な聖地とされる(④拝所)を備えたものも見られる。
【難易度:中】
2⃣ 『琉球王国のグスク及び関連遺産群』に含まれる、沖縄最古といわれるアーチ型の城門や城壁が良好な状態で残っているグスク( A )と、そのグスクを築いた人物( B )の組み合わせとして、正しいものはどれか。
【難易度:高】
3⃣ 『琉球王国のグスク及び関連遺産群』に関する説明として、正しくないものはどれか。
【難易度:高】
練習問題の解説
▶ 構成資産の概要
◆ 構成資産9件のロケーション
❶ 首里城跡 ❷ 園比屋武御嶽石門 ❸ 玉陵 ❹ 識名園 ❺ 今帰仁城跡
❻ 勝連城跡 ❼ 座喜味城跡 ❽ 中城城跡 ❾ 斎場御嶽
◆ 首里城跡(しゅりじょうあと)
首里城は琉球王がその居城と統治機関を設置するために築いたもので、政治、経済、文化の中心地。首里城正殿は、太平洋戦争で焼失し、1992年に再建されたが、2019年10月31日に火災発生。
正殿、北殿、奉神門などの建造物を囲む総延長1,080mの重厚な城壁の石積みには、「布積み(ぬのづみ)」「相方積み(あいかたづみ)」が混在しています。
※グスク城壁の石積み;
- 布積み:豆腐のように四角に加工して積んでいきます。大きな石を組むことで、強度が増します。
- 相方積み:石材を五角形や六角形に加工し、自然にかみ合うようにした積み方です。
◆ 園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)
首里城にある森で、かつては王族の聖域であった園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)に通じる石門。1519年に造成された琉球固有の宗教建築物です。扉を除き全て石造りの門で、国王が首里城から出かける時は、園比屋武御嶽石門で道中の安全を祈願していました。
◆ 玉陵(たまうどぅん)
1501年に築かれた琉球王国の王族の陵墓。沖縄地方の伝統的な墓所形態の1つである破風墓(はふばか)です。墓堂には、中室・東室・西室が連なり、王族の遺体はまず中室に安置され、数年を経た後に、王・王妃・王子は東室、そのほかの王族は西室に納められた。2018年、建造物として国宝に指定。(※破風墓:人家をかたどった石造りの墓堂)
◆ 識名園(しきなえん)
1799年に造営された王家の別邸。保養地の利用以外に、中国からの使者をもてなす場所としても使用。現在、沖縄県内で唯一の特別名勝。
◆ 今帰仁城跡(なきじんじょうあと)
沖縄本島の北部を治めていた北山(ほくざん)王の居城です。
約1,500メートルにもおよぶ城壁は、自然石をそのまま積み上げる「野面積み(のづれづみ)」で、地形によって造られ、美しい曲線を描くように巡らされています。
◆ 勝連城跡(かつれんじょうあと)
12~13世紀、沖縄で現存する最古のグスク跡、沖縄島中部の東海岸一帯を一望できる場所にあります。15世紀半ばには、有力按司の阿麻和利(あまわり)の居城でした。阿麻和利は、王位を目指して首里城を攻めるが破れ滅びます。
◆ 座喜味城跡(ざきみじょうあと)
琉球王国誕生の時に活躍した有力按司の護佐丸(ごさまる)によって、北山(ほくざん)を監視するために15世紀前半に造営されました。沖縄本島に現存する沖縄最古とされるアーチ型の城門(石門)などが良好な状態で保存されています。
◆ 中城城跡(なかぐすくじょうあと)
座喜味(ざきみ)城主の護佐丸(ごさまる)の居城で、阿麻和利(あまわり)の居城であった勝連城とは中城湾を挟む対岸に位置し、けん制するための城です。
◆ 斎場御嶽(せいふぁうたき)
琉球王国の国家的祭祀の聖地。海の彼方に「ニライカナイ」と呼ばれる神の国があるとする琉球独自の自然崇拝的な信仰と密接に関係している。王妃などが国の神事をおこなう聞得大君(きこえおおきみ)の職につくとき、儀式などが行われた。
グスクの遺構には「拝所(うがんじゅ)」と呼ばれる宗教的聖域を備えたものもあり、今なお多くの沖縄の人々の心の拠り所となっています。
◆ グスク城壁の石積み
グスクの城壁などに見られる石積みの方法は3種類に分けられます。
- 野面積み(のづらづみ):大小さまざまな自然石を面取り加工を施さず積み上げる方法です。
- 布積み(ぬのづみ):豆腐積みともいわれ、正方形や長方形に加工した石を地面と平行に積み上げる方法です。
- 相方積み(あいかたづみ):五角形や六角形に加工した石をかみ合わせるように積み上げる方法です。
相方積みは高度な技術が必要で、15世紀の有力按司の護佐丸(ごさまる)の時代に築かれたとされています。
グスクの城壁は、3種類の石積みを使い分け造営され、また曲面を多用した琉球独自の特色も備えています。中城城跡では3種類の積み方を一度に見ることができます。
▶ 関連記事の紹介
終わり
世界遺産は、過去から現在へと引き継がれてきたかけがいのない人類共通の財産です。そんな世界遺産を未来へ引き継ぐために、世界遺産を学び理解を深めたいものです。
近年、世界遺産を巡る旅が注目される中、世界遺産の知識があれば旅の楽しみも倍増です。
2020年にNPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」を受験し一発合格しました。次は1級受験を目指し、その対策をブログで紹介して行きます。
初めに2級試験対策の振り返りながら、1級試験対策を掲載予定です。
市販の過去問題やテキストなどを参考に練習問題を作成していますので、高得点や合格確実を目指している方は、他のサイトなども合わせて参考にされることをお勧めします。
また、世界遺産にご興味を持って頂けるような記事も書いて行きますので、ご関心がありましたら、ご一緒に取り組んで頂けると嬉しいです。
最後までご覧くださいましてありがとうございました。
次回もよろしくです。
▶ 学習に便利な書籍紹介
▶世界遺産検定2級の出題割合(問題数60問、試験時間60分間)
・基礎知識:20% ・日本の世界遺産(23件):25% ・世界の文化遺産:35% ・世界の自然遺産 ・時事ネタ:10% (※世界の文化・自然遺産の出題範囲は300件が対象です)
初めに基礎知識と日本の世界遺産23件を着実に習得して、時事ネタ(試験6ゕ月前からの新聞・ニュースなど参照)も合わせながら、全体の55%を獲得できる知識を身に着けることで、確実に合格圏内に近づきます。頑張れば1ゕ月程で試験対策ができます。