世界遺産検定2級合格の練習問題&解説【基礎知識 ⑥|MAB計画】
こちらでは、NPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」の合格60点に向けて、「基礎知識」について練習問題と解説で必要な情報を紹介していますので、ご活用頂ければ幸いです。(※練習問題は過去問題を参考に作成しています。)
世界遺産検定2級合格ー基礎知識 ⑥:MAB計画
◆ 学習のポイント
MAB計画(人間と生物圏計画)は、1971年にユネスコが立ち上げた研究計画です。ここでの学習のポイントは、MAB計画の「生物圏保存地域」の中から、世界遺産条約で採用している概念を理解することです。
基礎知識⑥の練習問題
1⃣ MAB計画に関する以下の文中の語句で、正しくないものはどれか。
「人間と生物圏計画」とは環境資源の持続可能な利用と環境保全を促進することを目的に、(①ユネスコ)が(②1971年)に立ち上げた研究計画である。保護すべき自然を生物圏保全地域として「③(核心地域)」「(④境界地帯)」「移行地帯」の三段階の区域に分け重層的に保護している。世界遺産条約はこの中から、「③(核心地域)」と「④(境界地帯)」の概念を援用している。
【難易度:中】
2⃣ MAB計画の「生物圏保存地域」は、保護すべき自然を三段階の区域に分け重層的に保護するものである。その中心部の名称として、正しいものはどれか。
【難易度:低】
3⃣ ユネスコは1971年に立ち上げた研究計画の中で、重層的な自然保護の概念を示した。世界遺産はこの中から、「核心地域」と「バッファー・ゾーン」の概念を援用して遺産保護を行っている。ユネスコのこの計画名として、正しいものはどれか。
【難易度:低】
練習問題の解説
▶ MAB計画(Man and the Biosphere program)
MAB計画(人間と生物圏計画)とは、自然および天然資源の合理的利用と保護に関して、科学的研究を行う国際的なプロジェクトで、世界遺産条約とは関係するものでなく、1970年の第16回ユネスコ総会で政府間事業として承認され1971年から開始。
世界自然遺産とMAB計画の違いは、世界自然遺産は「顕著な普遍的価値」を有する自然を厳格に保護することを主な目的にし、MAB計画は自然保護と地域の人々の生活(人間の干渉を含む生態系の保全と経済社会活動)を両立させて持続的な発展を目指している点が違います。
経済開発と自然保存はどのようにしたら良いのか?
MAB計画では、環境資源の持続可能な利用と環境保全を目指す研究で、守るべき3つのゾーン(三段階)を「生物圏保存地域」で定めています。
世界遺産条約は、MBA計画の3つのゾーニングのうち、「コア・エリア」と「バッファー・ゾーン」の概念を採用しています。
▶ 生物圏保存地域の区域分け
生物圏保存地域では、生物多様性を「核心地域(コア・エリア)」「緩衝地帯(バッファー・ゾーン)」「移行地帯(トランジション・エリア)の三段階の区域に分けて重層的に保護している。
「核心地域」とは、生物多様性を保全する区域そのもので、その核心地域の周辺に生物多様性の保全を妨げる活動を制限する「バッファー・ゾーン」、更にその周囲に保全を基調とした持続可能な社会経済開発ができる「トランジション・エリア」が設定されている。
世界遺産条約では、「核心地域(世界遺産登録範囲)」と「バッファー・ゾーン(世界遺産登録範囲外)」の概念を採用して、2005年にバッファー・ゾーンに関する作業指針が改定され、バッファー・ゾーンの設定が自然遺産と文化遺産(文化財周辺景観保護)の双方において厳格に求めれてるようになりました。
▶日本のユネスコエコパーク
日本国内ではMAB計画の「生物圏保存地域」を、「ユネスコエコパーク」の呼称が用いられることが多く、このユネスコエコパークを受け、世界文化遺産の『紀伊山地の霊場と参詣道』の構成資産である「大台ヶ原・大峯山・大杉谷」(奈良県・三重県)が、1980年にユネスコエコパークに登録されています。また、世界自然遺産の『屋久島』でも「屋久島・口永良部島」(鹿児島県)が、1980年にユネスコエコパークに登録されています。現在までに日本国内には10ゕ所のユネスコパークが登録されています。
日本のユネスコエコパークは1980年(昭和55年)から登録開始して10ゕ所あります。
⑵ 「白山」(1980年登録、石川県・福井県・富山県・岐阜県)
⑶ 「大台ヶ原・大峯山・大杉谷」(1980年登録、奈良県・三重県、世界遺産)
⑷ 「屋久島・口永良部島」(1980年登録、鹿児島県、世界遺産)
⑸ 「綾」(2012年登録、宮崎県)
⑹ 「只見」(2014年登録、福島県)
⑺ 「南アルプス」(2014年登録、山梨県・長野県・静岡県)
⑻ 「祖母・傾・大崩」(2017年登録、大分県、宮崎県)
⑽ 「甲武信」(2019年登録、山梨県・埼玉県・長野県・東京都)
※ パンフレット「ユネスコエコパーク ー自然と人の調和と共生ー」(PDF)
▶ 関連記事の紹介
終わり
世界遺産は、過去から現在へと引き継がれてきたかけがいのない人類共通の財産です。そんな世界遺産を未来へ引き継ぐために、世界遺産を学び理解を深めたいものです。
近年、世界遺産を巡る旅が注目される中、世界遺産の知識があれば旅の楽しみも倍増です。
2020年にNPO法人世界遺産アカデミーの「世界遺産検定2級」を受験し一発合格しました。次は1級受験を目指し、その対策をブログで紹介して行きます。
初めに2級試験対策の振り返りながら、1級試験対策を掲載予定です。
市販の過去問題やテキストなどを参考に練習問題を作成していますので、高得点や合格確実を目指している方は、他のサイトなども合わせて参考にされることをお勧めします。
また、世界遺産にご興味を持って頂けるような記事も書いて行きますので、ご関心がありましたら、ご一緒に取り組んで頂けると嬉しいです。
最後までご覧くださいましてありがとうございました。
次回もよろしくです。
▶ 学習に便利な書籍紹介
▶世界遺産検定2級の出題割合(問題数60問、試験時間60分間)
・基礎知識:20% ・日本の世界遺産(23件):25% ・世界の文化遺産:35% ・世界の自然遺産 ・時事ネタ:10% (※世界の文化・自然遺産の出題範囲は300件が対象です)
初めに基礎知識と日本の世界遺産23件を着実に習得して、時事ネタ(試験6ゕ月前からの新聞・ニュースなど参照)も合わせながら、全体の55%を獲得できる知識を身に着けることで、確実に合格圏内に近づきます。頑張れば1ゕ月程で試験対策ができます。